平凡な憂の非日常
ドアを開けると、小雨が降っていた。
傘を広げて、コンビニに向かうと
前からふらついた足取りのオッサンが歩いてきた。
隣り部屋の渡辺さんだ。
歳は50くらいで、警察官らしい。
でも、その歳でワンルームのアパートに独り暮らし。
駅から徒歩20分で、家賃6万5千円。
僕は、離婚してつらい生活なんだろうなって勝手に想像していた。
すれ違う時、かるく会釈した。
渡辺さんは、僕に気づかなかったのか、そのまま歩いて行った。
コンビニでビールと酎ハイを買ってアパートの帰り道
傘をささず立っている人がいた。
真っ赤なワンピースで長い髪。
何でだろうと思いつつ横を通り過ぎようとすると、女がいきなり
「大丈夫ですかは、ないの?」
女の方を見ると化粧のとれかけた顔を見て僕は
「ヤベェ化け猫だ」
この時は思わなかった。
この化け猫を飼うことになるなんて。