平凡な憂の非日常
目を細めてやさしく見つめる渡辺さんと
妙にテンション高く目がギッラギラのリナ。
(わかんない、わかんないけど怖いよ~)
「俺は、受験生なんだから
あんまり大きな声とか止めてくれよ」
「大丈夫、ウチ人間には聞こえへん声でやれるから」
「やっぱ、オマエは圏外だな~」
「ウチもアンタはごめんなさいやわ~」
「ふっふっふ」
「にゃっはっは」
(笑えない、全っ然笑えないよ~)
「お2人とも、また今度・・・」
この3人の会話が怖かったので
力なく挨拶するのが精一杯だった。
渡辺さんと杉山さんが出て
ドアがゆっくり閉まると、リナが鍵をかけた。
ガチャ
2人が居なくなった部屋に、音が響く。
なぜか、鍵をかけるリナから目が離せなかった。
「はぁ~、ようやくゆっくりできんな~」
口調もやさしく、ゆっくりと振り返り頬を緩めるリナ。
だが、その眼差しは鋭く僕を震えさせた。