平凡な憂の非日常

目を細めてやさしく見つめる渡辺さんと

妙にテンション高く目がギッラギラのリナ。

(わかんない、わかんないけど怖いよ~)

「俺は、受験生なんだから

あんまり大きな声とか止めてくれよ」

「大丈夫、ウチ人間には聞こえへん声でやれるから」

「やっぱ、オマエは圏外だな~」

「ウチもアンタはごめんなさいやわ~」

「ふっふっふ」

「にゃっはっは」

(笑えない、全っ然笑えないよ~)

「お2人とも、また今度・・・」

この3人の会話が怖かったので

力なく挨拶するのが精一杯だった。

渡辺さんと杉山さんが出て

ドアがゆっくり閉まると、リナが鍵をかけた。

ガチャ

2人が居なくなった部屋に、音が響く。

なぜか、鍵をかけるリナから目が離せなかった。

「はぁ~、ようやくゆっくりできんな~」

口調もやさしく、ゆっくりと振り返り頬を緩めるリナ。

だが、その眼差しは鋭く僕を震えさせた。

< 60 / 70 >

この作品をシェア

pagetop