平凡な憂の非日常
「ん、どうしたん?」
声はやさしく聞こえるが
目が全然笑ってないリナは
そう言いながらゆっくり僕に近づいてきた。
「・・・・・」
話す言葉が見つからないのか
黙ったままリナを見続ける僕。
手を伸ばせば触れるくらい
近づいてリナは足を止めた。
沈黙の中、リナは目を閉じてゆっくり僕に顔を近づけ
「いたただきます」
「うわあああああ」
ようやく呪縛でも解けたのか
僕は情けない悲鳴を上げて尻餅ついた。
「なにを、そんなに取り乱してんの?」
首をかしげて、なにも知らない純真無垢な
子供の顔して聞いてきやがる。
「そ、そっちこそ、急に何をしようとしてんだよ」
尻餅つきながらどもるって、
動揺してるの丸出しで情けなかった。
「えっ、ただのちゅうやけど?」
僕の動揺を知ってか知らずか
純真無垢の子供のまま言ってきた。