平凡な憂の非日常
腕の中、小さな肩でおそるおそる僕の反応を待つリナは
いつのもふざけて冗談ばかりを言うリナとは違い
しおらしくかわいいと思った。
「・・・ごめんね」
謝る僕に、リナは息を少し吐いて、僕の手を握った。
「憂が謝ることないで。
ウチの空回りやったんやから」
自虐の言葉に、つい抱きしめる力が強くなってしまった。
「んっ、ちょっと苦しいわ」
「ごめん」
腕の力を緩めるが
このままリナを放すとどこかにいってしまいそうで
僕は腕を放すことができなかった。
「いいんやって。
憂の気持ちはもう分かったんやから。
もう何もしーひんよ」
どこかいつもより力のないリナの言葉に苛立ちさえ覚えた。
「違う!
ただ急にだったから驚いただけで
別に嫌いだっていうんじゃなくて・・・」
思わず声を荒げて言う僕にリナは
「ホンマに!!」
と言うと、器用に体を180度回転させて僕の顔を見上げた。