平凡な憂の非日常
「汚い部屋ですけど、どうぞ」
僕に、促されて女は部屋に入ってきた。
ひと通り見渡して
「なんか、キレイちゅうか殺風景な部屋やな」
「………」
僕の部屋には物が、あまりない。
生活に必要な最低限の物だけで
他の物は持っていなかった。
昔から、部屋にはあまり物を置いていなかった。
久し振りに、人を自分の部屋に入れた。
東京では、初めてかもしれない。
しかもその人が昔、田舎の彼女を初めて部屋に入れた時と同じことを言うものだから、少しびっくりした。