chocolate
貴司はいつもニコッと笑って
私に話しかけてくれていたから
…何も気付かなかった。

同期でお互い励ましあったり
一緒にランチに行ったり…
周りから羨まれるほど
仲良くしてくれていたのに。

「…貴司も、泣いてたの?」

貴司はいつものように
ニコッと笑った。

「諦めないって言ったよ。
…先生がずっと好きだったから。」

繋いだ手を離さないまま聞いた。

「いつ、知ったの?…その先生…が
課長の奥サンになるって…。」

「先生が話してくれたんだ。

アイツと…先生は…大学が一緒で
偶然街で再会したのがきっかけで
…なんかあっという間に
結婚が決まってしまったって。

結局…俺は、先生に
男としてみられてなかったんだ。」

静かにコーヒーを口に含んだ貴司を…
抱きしめて…優しく…
キスしたくなってしまう。
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