chocolate
貴司が初めて私にキスした時…
私が…中西課長を好きだと言った
あの時…

あの時の貴司は今の私と
同じ気持ちだったのだろうか。

目の前で苦しむひとを
温めてあげれるのは
自分なんじゃないかという、錯覚。

「課長にも声かけられたよ。
家庭教師だったんだってなって。」

私は、手を握ったまま、貴司に
優しくキスをしたら…
静かだった茶色の部屋に
チュッという音だけ響いた。

貴司は今でもその先生のコトを…
好きなんだって分かる。

なんとなくだけれど…
課長と奥サンにお子様が居ないのも
貴司がなんとなく関係している
ような気がしてしまう…。

それでも、私は貴司も好きだった。

貴司が私を好きだと言ってくれる
同じような気持ちかもしれない。

貴司はどれだけ苦しい想いを
してきたのだろうと思うと
私と重なって…泣きたくなる。
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