chocolate
「なんで、亜希が悲しそうなの?」

いつものようにニコッと
さわやかに笑う貴司に胸が痛む。

「私も…課長が好きだから。」

思わず、貴司の頬に触れた。
貴司だって…
悲しそうな顔してるよ。

「先生とのこと、やめた方がいい
…って私に言われたら…
貴司は諦められる?」

…私は泣いていたかもしれない。

貴司ともっと早く出逢っていたら

好きになってしまったのが
課長じゃなくて、貴司だったら

貴司は苦しまなくて済んだ
かもしれないと…思ってしまう。

…さっき食べたチョコレイトは
やっぱり嫌いになりそうだけど
チョコレイトのキスは…嫌いになれない。

ただ甘い塊のチョコレイトと…
甘さと優しさのあるチョコレイトのキス。

貴司が私の髪に触れて

ゆっくりソファーに押し倒された。
< 104 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop