chocolate
「携帯…光ってるよ。」

貴司は私の頬にチュッとキスをして
携帯に目をやった。

きっと…貴司の好きな女性から
何かを受信したのだろう。

私は髪を整えながら
ソファーに座って貴司に寄りかかって
甘えていたことに気づく。

「明日は休みだから
ゆっくりしていけばいいよ。」

「うん…。」

まだじっと携帯を観ている貴司に
またくっついて目を閉じた。

ふと、貴司が泣く気がしたから
今度は私が抱き締めてあげた。
耳にも首筋にも優しくキスした。

「いいよ。泣いても。」
思わず言葉に出てしまった。

何年もこうやって、貴司は…
その女性が好きで…苦しんでる。

「なんだよ。泣かないよ。」
いつものニコッとした笑顔だった。

逢いたいひとに逢えないって
つらいんだね。
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