chocolate
023
私はまたゆっくりコーヒーを飲んだ。

ふと、中西課長の顔が浮かんだ。
彼は悲しむのだろうか。
私に恋人ができたら。

窓の向こう側の
きっと綺麗な景色に背を向けて
貴司が私に近づいてきた。

コーヒーカップのコーヒーが無くなって
思わず手持ち無沙汰になった。

今頃、課長と奥サンは…二人で
どこにデートに行こうかとか
話している頃かもしれない。

貴司も同じコトを考えているの?

だから苦しくて…。

「…苦しいもんね。この恋。
だから少しずつ…でもいい…?」

私はそっと立ち上がって
背の高い貴司を見上げた。
相変わらず甘い顔をしている。

そっと貴司に頭を撫でられた。

私はなんで課長のことが
こんな時にも浮かんできて
胸が痛くなるんだろう。

…課長の笑顔が観たい。
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