chocolate
「亜希が居ててよかったよ。」

私が貴司の手を引いて、急いで
歩いていたから…その言葉で
なんだかほっとして…
ゆっくり歩くことができた。

「私も…貴司が居なかったら
倒れてたかもしれない。」

きっと、これでよかった。

あの二人が歩いている姿は
ちゃんと顔は観てなくても…
絵になっていた気がする。

うまく言えないけど
愛し合っているふたりだった。

そりゃそうだよね。

夫婦だもん。

「何か欲しいものがあるなら
今なら1個だけ買ってやるよ。」

ニコッとあのいつもの爽やかな
貴司の笑顔で言ってくれていた。

「ほんと?」

貴司はいつもこうやって
苦しくても笑っていたんだろう。

私も思わず笑顔になった。
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