chocolate
006
私の右側の中西課長は
ハンドルを握っている。

…右隣が熱くなる。
なんとなく右も向けなくて…
景色ばかりみていた。

不思議な感覚。

入社して、数年経過して…
車で送ってもらうのは初めて。

今まで何度か送ってくよと
声をかけてもらえても
…何かが合わなかった。

他愛の無い会話だったけれど…
いつも観る風景もあるけれど…
ただ、ドキドキしていた。

「佐久真もよく、
仕事頑張ってるよなぁ。
丁寧でしっかりしてて、クールで。」

クール…なんだ?冷たいかぁ。
貴司にも言われたことある。
もっと笑えばいいのにって。

「いい意味でのクールだよ。
事務職ってクールでいいと思う。」

会社での印象ってそうなんだぁ。

「だから、今日、驚いてるよ。
佐久真がよく笑うから。」
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