chocolate
泣きそうにはなってないけれど
じっとグラスを観ていたら
貴司にそっと手を握られていた。

少し驚いたけれど…
そのままにしておいたら
そっと手が離れていった。

不思議。
…やっぱり心地いい。

「亜希、行こうか。」

私が泣くと思ったのだろうか。

お会計の時もスマートに支払って
私の3歩前を貴司は歩いていた。

会話もないままだったけれど
温かさはなんとなく伝わる。

秋の空もお昼間は暖かくても
上着を羽織るくらいはしている。
貴司もスーツのジャケットを羽織って

その後ろ姿に少し
…見とれてしまう時もある。

大事にされている。

本当に心地いい。

あの優しさに甘え続けて
既婚者の中西課長への片想いも
簡単に話してしまった。
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