chocolate
私が前の恋人と別れたのも
貴司には話をしていた。

私はただただ泣いていたけれど。

その時はまだ本当に、ただの、
同期の仲の良い男性だった。

別れた話を聞いてくれて
あの甘い笑顔で癒してくれてた。

何度かデートにも誘ってくれて
元気になり始めた頃
私が中西課長を好きになった。

「好きになったかもしれない。」

と、中西課長の話をしていたら、
貴司にキスをされたのだ。

あの、地下の書類倉庫で。

あまりに自然のキスだったから、
思わず貴司にしがみついたのを
今でも覚えている。

温かい腕のなかで私の失恋は
溶けていくようだった。

「亜希、亜希…。」

何度も私の名前を呼んでくれて
もしかしたら幸せだった。

甘い時間は今も流れてる。
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