chocolate
010
あ、なんかコレ、いいなぁって…
思ってしまう。

奥サンが羨ましい。

毎日、こんな感じで
課長の温かい笑顔に包まれて
幸せな気持ちなんだろうなぁ。

あんまり考えると
泣きそうになるからやめよう。

貴司の席の横に座りたがる
年下の後輩の女性社員みたいに
かわいく甘えられたら
いいんだろうなぁ。

「佐久真も不思議だよな。」

中西課長の声ではっとする。

「南野とは、いい感じなんだし、
…まぁ、それは、いいんだけど…
アイツみたいなのはダメなの?」

…曖昧に笑うしかない。
好きな男性にこんなこと言われて
何て言えばいいのか分からない。

しばらくして…
いろんなひとの挨拶が始まって
忘年会開始の乾杯になって

…二人でグラスを静かに合わせた。
< 46 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop