chocolate
「俺でよかったら、いつでも
胸貸してやるよ。…どんとな。」

中西課長がニコッと笑いながら
酔っている私を笑わそうとした。

私は笑って、またお酒を一口
ゆっくり飲んだ。

前菜もメインも終わった頃
また、いろんなひとの挨拶が…
始まっているのは分かったけれど

頭に入ってこなくなってくる。

少し大きな声で話す
各部署の上司が笑いを誘ったり
1年の締めくくりの挨拶をして
時折、拍手などをしていた。

甘いカクテルは、やっぱり甘くて
私に優しい気がする。

「中西課長ってホント、素敵ですね。」

「ん…?何?聞こえない。」
周りの笑い声と声が重なったから
課長は私の声を聞こうとして
さっと、私に体を寄せてきた。
距離が、より、近くなる…。

「課長は、素敵です。」

声の大きさは小さいまま…
少しだけゆっくりと話した。
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