chocolate
002
「なんで…アイツがいいんだっけ?」

貴司を観て少し笑ってしまった。

少し面白くなさそうな顔をして
ただ階の上がる数字を
貴司は観ているだけだった。

「課長…私に、チョコレイト、くれたの。」

私の好きな男性は
営業部の課長の中西洋輔さんで
私の気持ちには気付かない。

年上でクールで…無表情で
それでも笑うとかわいくて
仕事のことをずっと考えていて
それがそれで眩しい。

甘いチョコレイトが好きみたいで
いつも、バレンタインデーで渡すときは
子供みたいに喜んでくれた。

とても些細なことだけれど
そのチョコレイトをそっと私にくれた。

私が失恋していた時
社員食堂でひとり…ランチ中に
彼を思い出して泣いてしまった。

ランチの時間から外れていたから
社員食堂にはひとが疎らだった。

泣いてる私に気付いた中西課長に
気付いて…涙を慌てて拭いた。
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