chocolate
課長の手が壊れものを触るように
私の顔に触れられた。

自然と顔をあげると…
当たり前なのだけれど
素敵な中西課長の顔があった。

…好き。

車の中で二人で居て
片方の女性が昔の恋の話をして
片方の男性が抱きよせてくれたら

そしたら…。

…やっぱり違う誰かの物語を
観ている気分だった。

でもこれは現実だから
中西課長の温かさも鼓動も
きちんと感じられている。

だんだん距離が近づくのが
とても自然だった。

課長の唇が触れて、

唇が静かに…離れた。

驚かない自分が不思議。
まだ、当り前みたいな感覚。
…唇だけが熱い。

じっと中西課長を見つめていたら
課長も私を見つめてくれていた。
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