chocolate
そっと…手が離れた、と思ったら

手がまだ温かいまま…そっと、
車のシートベルトを外されて…
ぎゅっと抱きしめられた。

腕の中は…手よりも温かかった。

「佐久真、俺と…。」

愛する奥サンが居るひとなのに…
言わせてはいけない言葉を
私は言わそうとしている…。

「わかってます…。
振りほどけなかったんですよね。
二人きりで…車のなかに居て…
綺麗な夜景を観たから…

キスしてくださったのも…
大人の対応っていうか…。」

抱きしめられてたのがほどけた。

「そういうの…なんとなく…
…わかって…ます…から…。」

私はズルイのかもしれない。
涙が溢れてしまった。

…もう、好きになっていたから。

心と違うことを発すると
私は涙が出てしまうのかと
その時、自分のことを知った。
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