chocolate
私は目の前の…
自分で作った定番のお弁当と
社員食堂で購入したお味噌汁と

失恋した彼からの連絡の来ない
携帯電話を観ていた。

突然頭に手が置かれたので
見上げると営業部の中西課長で
私はまた慌ててしまった。

思わず手が離れた個所を
触ろうとして、課長を見上げた。

「佐久真、とりあえず、食え。」

中西課長は、いつもの…
クールで無表情のまま…だった。

エレベーターに向かう後ろ姿を
なんとなく見送りながら
携帯電話に目をやると
チョコレイトの箱が1個置いてあった。

「中西課長…?」

声をかけても届かない距離で
さっきの涙が溢れてきた。

私はチョコレイトがキライだったけれど…

ただただ甘いだけの塊で…
カロリーだけただただ高い塊を

…そっと口内の体温で溶かした。
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