chocolate
私は、静かに車から出た。

冷たい風が吹いて当たる。
私には心地いい風で…
コートを着たうえに優しく包まれる。

すると、課長も車から出て
運転席の向こう側から
助手席のこちら側へ向かって

一言だけ私に言って
車に乗り込んで、帰って行った。

観えなくなるまで
静かに手を振って
奥サンの元へ帰る課長を見送った。

不思議と悲しい等の想いはなく…
さっき、課長が私に残した一言が
私を幸せな気持ちにさせて
家に帰してくれた。

「俺と亜希は、惹かれあったんだ。」

中西課長も私のことを
少しは好きだと思って
くださっていたのだろうか。

この恋は始まったのだろうか、
このまま終わったのだろうか。

休み明け、会社で私は
どんな顔をするのだろう。

…中西課長にも…、貴司にも…。
< 70 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop