chocolate
016
私は内勤だから
あまり残業は無いのだけれど…
課長を待っていていいのかなぁ。

『定時の18時には終わります。
…待っていてもいいですか?』

仕事が終わって…
課長を待っている時間
本屋に立ち寄ることにした。

並ぶ本を観ていたら…
会社の地下書類倉庫を思い出す。

貴司と私は何度もあの場所で
キスをしていたのに
彼女が居ると知っても
ショックではなかった。

言ってくれなかったコトは
少し落ち込むけれど…私だって
貴司に秘密を持ち始めている。

…貴司の彼女、ずっと年上って
どんな女性なんだろう。
また今度話聞いてみよう。

それにしても…私は今でも
貴司にあの場所へ呼ばれたら
行ってしまうのだろうか。

貴司の唇はおいしいけれど
愛があるのは課長のキスだった。

なんて、愛なんて無いのに。
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