chocolate
「うーん。…わからない。」

時々こんなこと言うから
スキだらけで…モテるんだろう。

私は目星の書類の箱を見つけて
自席に戻ろうとしていた。

誰かが退職する時は
それはそれで総務の私も
揃えなきゃいけない書類がある。

「…うまくいっても、いかなくても
私とキスしたいって思うの?」

書類の箱をかついでいると
そっと貴司が持ってくれた。

意外と軽い箱だったけれど…
任せておこうと思った。

「思うよ。…言ってるじゃん。
俺、亜希のコト好きなんだよ。」

地下書類倉庫の鍵をしめて
二人で出た時に言われた。

「そう…。」

男性ってやっぱりわからない。
けど私には貴司が心地いい。

こんな…不倫なんかしている私を
好きだと言われると…
ちょっと救われた気がする。
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