chocolate
018
地下からエレベーターに乗って
営業部と総務部のフロアに行く。

そのほんの数秒…
私は貴司とキスをしていた。

貴司が箱を持ったまま。

そのキスはすぐに離れて
何が起こったのか
すぐ理解できなかった。

「亜希、やっぱり…色っぽい。」

…一瞬、中西課長が浮かんだけど
課長は関係あるのだろうか。

フロアに着いて、
資料の箱を置いてくれた貴司に
ありがとうを優しく言って…

ふと…中西課長を
遠くで見つめてしまった。

私はこのひとと…毎日キスしてる。

「亜希、お礼はコーヒーでいいから。」

貴司が手を振って、
私に背を向けて歩いていた。

…現実に戻されてしまう。
私はニコッと笑って、手を振った。

…私は何をしてるんだろう。
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