chocolate
聞けないまま…

スパイスのよくきいたカレーと
ふっくらしたナンを食べて…
ヨーグルトのドリンクを飲んでいる時

そっと小さな白い紙袋を渡した。

「私、チョコレイトのコトわかんないけど
…おいしいみたいだよ。
いつもありがとう。貴司。」

「ありがとう。嬉しいよ。
…亜希…、俺とキスしたくない?」

ニコッと笑う貴司に対して
反射的にニコッと笑ってしまった。

「亜希、一緒に食べようぜ。チョコ。」

「私…チョコレイト好きじゃないのに?」

「俺と食べたら好きになるかも。」

言葉の意味が分からなかった。

ヨーグルトのドリンクを飲み干した後…
私は貴司の車に乗り込んだ。

携帯にはメールが届いていた。
『今度、ゴハン食べに行こうか。』

…課長からの優しいメールだった。

バレンタインデーの夜にこっそり。
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