chocolate
020
初めて入った貴司の部屋が
落ち着くと感じるのは…
少し変なのかもしれないれど

とても、落ち着いていた。

貴司の部屋全体が優しい茶色で
統一されるからかもしれない。

優しく出してくれたコーヒーも
当り前だけれど茶色だった。
貴司は黒い色のコーヒー。

「…ミルク入れてくれたんだね。
ありがとう。」

貴司はニコッっと笑って私の横に
静かに腰かけて…先程あげた
バレンタインデーのチョコを
丁寧に、静かにあけていた。

この静かな音が落ち着くのかも。

会社の地下の書類倉庫も…
そういえばいつも静かだった。

ゆっくり流し込むカフェオレが
おいしかった。

…そういえば、
彼女にも貰ったのだろうか。

「亜希…。」

貴司の手が私の頬に触れていた。
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