chocolate
そして…唇が…触れた。

「あ…ん…。」

声にならない声が出た時…
触れた唇の間から甘い味がした。

甘くて甘くて…とろける…。
唇が離れた時…貴司の唇を
ゆびで触れてみた。

「チョコレイト…?」

「こうやって、俺と食べたら
おいしいだろ?」

貴司の口に含まれた半カケラのチョコを
二人で溶かすようなキスだった。

「…ん。おいしいかも。」

その瞬間、中西課長が浮かんだ。
課長も、奥サンと…こうやって…。

…また少し泣きそうになったのを
貴司が気付いて…笑っていた。

また貴司は、もう半カケラのチョコを
口に含んだまま…私にキスをした。

私も、受け入れて…嫌いなチョコの
甘さにとろけていた…。

茶色くなった唇の周りも
二人で舐めて…。
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