夏色の約束。~きみと生きた日々~


毎年、このことを話すたびに、どうしようもないくらいの孤独と悲しみに襲われる。


でもやっぱり、忘れたくない。


君との約束を、君が残してくれたモノを。


守りたいの、伝えたいの。


だからなつは、今日もこうしてステージに立つ。


マイクの音源をオンにして、なつはそっとマイクに顔を近づける。


「……皆さんにとって“命”って、なんですか?……“生きる”って、どういうことだと思いますか?」


なつのこの問いかけに、みんなが不思議そうな顔をする。


でもなつは、迷わず話を続けるんだ。


全てを話し終えた時、この子たちが、この問いかけの意味を自分自身で見つけてくれることを信じて。


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