夏色の約束。~きみと生きた日々~


「私は4歳の時に、あるひとりの男の子と出会いました。そしてその男の子に、恋をしました」


みんなが突然のなつの話に、“えー!”っと驚いた声を上げる。


なつはそんなみんなを見て、ゆっくりと微笑んだ。


「彼の名前は、高岡碧。とても優しくて明るくて、正義に満ち溢れた人でした。今日は、その彼が私に教えてくれたことを、私が皆さんに伝えたいと思います」


そこまで言ってから、なつは一旦、目を閉じる。


そして、あおちゃんに届くよう、心の中で話しかけた。


………あおちゃん。


また、この日がきたね。


なつが君との約束を叶える、この日が。


『なっちゃん』


忘れないように、消えないように。


なつが、伝えるから。


ゆっくりと目を開ければ、真剣な後輩たちの表情がいくつもあって。


なつは、君との日々をひとつひとつ辿るように、ポツリポツリと口を開き始めた────。


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