夏色の約束。~きみと生きた日々~

こぼれる涙



今、たった今、なつたちは授業を受けていたはず。


だって目の前の机には、算数の教科書とたくさんの数式が解かれたノートがあるから。


……なのに、今なつの目の前に広がっているのは、とてもじゃないけど信じられない光景で。


座っていた椅子からぐらりと転げ落ち、胸を抑えて苦しそうな呼吸を繰り返すあおちゃん。


それを見て、キャーキャーとざわめきたつクラスメイトたち。


担任の先生は、見たこともないくらい真っ青な顔をして保健室の先生を呼びに教室を飛び出て行った。


なつも、自分の目を疑った。


なにもかも、分からなくなった。


「ヒュー……ヒュー……」


その独特の呼吸音がやけに耳に残って、思わず耳を塞いでしまいたくなる。


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