夏色の約束。~きみと生きた日々~
でも、今はそんなことよりあおちゃんをどうにかしなきゃ。
自分のことより、あおちゃんのことの方が優先なんだから。
恐怖と不安が入り混じってガタガタと震える足をなんとか立たせ、なつはあおちゃんのそばへ行く。
そして、胸を抑えて息苦しさに顔を歪めているあおちゃんの横にそっとしゃがみ込んだ。
「あおちゃん……?大丈夫だよ……」
「こほっ……ヒュー……」
「なつがいるから。ずっといるから……」
そう言って、あおちゃんの背中を優しくさすってあげる。
「ヒュー…、な、ちゃ……っ、こほっ…」
しゃべれないくらい苦しいはずなのに、あおちゃんは今にも消えてしまいそうなくらいか細い声でなつの名前を呼ぶ。
「……っ、だ、いじょうぶだよ……」
「もう、しゃべらなくていいから……っ」
「ね、な……ちゃん……」
「だから……っ、もうしゃべるな……っ」
なつが強い口調で言えば、あおちゃんは口元にふわりとやわらかい笑みを浮かべた。
あおちゃんの唇が、なにかを伝えようとゆっくり動く。
“ありがとう”
あおちゃんは確かにそう言った。
君からの優しいメッセージに、涙が溢れて止まらなくなった。