夏色の約束。~きみと生きた日々~


なつは小さな瞳を一生懸命に動かして、大好きなお母さんの姿を探す。


「菜摘、こっちよー」


そしたらまた聞こえてきたお母さんの声。


今度はよく耳を澄ましてたから、ちゃんと聞こえた。


振りかえって声の聞こえた方を見れば、遠くの方でなつに向かって手を振っているお母さんの姿。


………でも、あれ?


お母さんと、誰かまだ人がいる?


遠くからじゃ、よく分からないや。


……お母さんのところへ行ってみよう。


なつは不思議に思って、お母さんのもとへ全力で走りだす。


「おかーさーん!!」

「菜摘!あなたこけるわよ!」

「……え?……う、わっ……!」


お母さんのもとまであと少しだ!


そう思ったのもつかの間。


サンダルを履いていたなつの足は柔らかな砂浜にきっちりと捕らわれて、足元を崩したなつは顔から砂浜に突っ込んだ。


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