夏色の約束。~きみと生きた日々~
「う……っ、いったぁ……」
なつの顔に白い砂がたくさんついた感覚。
でもそれより、顔中が焼けるように痛い。
痛くて痛くてどうしようもなくて、体を起こしてその場にペタンと座り込むと、なつは大きな声で泣き始めた。
「ほら、もう。だから、こけるわよってお母さん、言ったじゃない」
そんなお母さんの声が、なつの耳に突き刺さるように響く。
だけど、なつが泣き始めてからすぐに、頭の上に何かがのせられた感触。
………なに?
顔をバッとあげると、そこにはまだ見たことのない男の子。
年は、なつと同じくらいかな?
男の子は、なつを見てにこっと笑うと、
「いたいのいたいの、とんでいけー!」
って、ものすごく大きな声でそう言った。
「へ……」
なつはびっくりしてその場に固まる。
………あ、でも、痛いの、本当に飛んで行っちゃったかも……。
気づけば男の子に意識が行ってて、さっきまで痛かったのが嘘のように、顔の痛みは消えてなくなっていた。
「もう、いたくなくなった?」
なつの横にしゃがんで顔を覗き込んでくる、心配そうな顔の男の子。