夏色の約束。~きみと生きた日々~
………なに、それ。
ねぇ、あおちゃん。
女の子にそれは、反則だよ。
そんなに……そんなにも優しい顔で言われたら、なつだってドキドキしちゃうよ。
久しぶりに感じたドキドキに、なつの胸は甘く痺れるように疼いた。
「……あおちゃんの、バカ」
きっと真っ赤になってるであろう顔を隠すために、なつは地面に視線を落とした。
「こっち、向いてよ」
響き渡るセミの声とともに、あおちゃんの声が耳に入る。
「ねぇ、聞いてる?こっち向いて?」
「……やだ」
「なっちゃん」
「もう……やだ……っ。だって、恥ずかしいもん……」
なつはそう言うと、浴衣の裾をきゅっと握り、唇を少しだけ噛みしめた。