夏色の約束。~きみと生きた日々~
「ねぇ、なまえは?」
「なつのなまえ?」
「きみ、“なつ”っていうの?」
男の子にそう聞かれたから、なつは無言で首を振る。
だって、違うもん。
なつの名前は、“なつ”じゃないもん。
「“さとうなつみ”だよ!」
なつが誇らしげに自分の名前を言うと、男の子は、あはっと笑ってから、
「じゃあ、“なっちゃん”だね」
ってなつに無邪気な笑顔を向けた。
「………っ」
その瞬間、自分でもよく分からないけど、なつの胸の奥がぎゅっと痛くなったような気がした。
………あ、それより、この男の子の名前はなんていうんだろう?