夏色の約束。~きみと生きた日々~
涙のキス
小学生でいられる時間も、もうあと少し。
土曜日の昼下がり、2月の海。
「なっちゃん、俺ね、小学校を卒業したら、すぐに入院しようと思う」
真剣な顔をして、あおちゃんはなつの前で信じられないことを言い放った。
……ううん、信じられないことじゃない。
だって、予感はしてたんだ。
昨日あおちゃんに、
『なっちゃんに言わなきゃいけないことがある』
って言われたときから。
なんとなくだけど、よくないことを言われるんだっていう予想はできてたの。
「なっちゃんに、嘘はつきたくないから」
「……うん」
頭をなでてくれるあおちゃんの手がとても優しくて、まともに顔を見ることができない。