夏色の約束。~きみと生きた日々~
「……じゃあ、それでいいや!なっちゃんがいいっていうんだもん!」
さっきまで困ったような顔をしてたのに、なつの目の前にいるあおちゃんはもう笑顔で。
なつの胸が、またトクンと鳴って少しだけ痛くなる。
あおちゃんって、なんかキラキラしててすごいな。
なつはあおちゃんを見て、そう思った。
「よし、いこう!」
太陽のような眩しい笑顔に見とれていると、急にあおちゃんがなつに向かってそう叫ぶ。
……え?
行くって、どこに行くの?
そう言いたかったのに、言えなかった。
……だって。
「………っ」
あおちゃんの小さなてのひらが、なつの小さなてのひらを包むように、ぎゅっと握ったから。
「なっちゃん、うみにいこ!」
なつは恥ずかしくてそれどころじゃないのに、あおちゃんはなつの手を引いてどんどん先に行く。
「わぁ、きれぇ……」
海の近くまできたとき、目の前に広がるコバルトブルー色の海に、あおちゃんが感嘆の声を漏らした。