夏色の約束。~きみと生きた日々~
だから自分の中で決意を固めて、なつはあおちゃんの病室に足を踏み入れた。
「……っ、あお、ちゃ………」
………それなのに。
なんで、涙が溢れてくるの……。
今日、お母さんの胸で散々泣いたのに、まだなつの中にある涙は枯れてはいなかったんだね。
変わり果ててしまったあおちゃんの姿を見て平気でいられるほど、なつは大人じゃなかったみたい。
なつの瞳に映ったあおちゃんは、大きな機器に囲まれていて、体にはたくさんのチューブ。
昨日まで元気に動いていた体は、動く気配すら見せない。
まだ12歳だったなつはその現実を受け止められず、膝から崩れ落ちるようにその場にしゃがみこんだ。