夏色の約束。~きみと生きた日々~


………それは、なんで?


なつが頼りないから?


なつのことを、信用できなかったから?


そう聞けば、あおちゃんはきっとこう言うよね。


“なっちゃんを泣かせたくなかった”


“なっちゃんには、笑っててほしいから”


誰よりも優しい君はそう言って笑いながら、なつの頭をそっとなでるんだ。


『──もしも、もしも俺の身に奇跡が起きて、またみんなと一緒に学校に通えるようになったら。その時は今までのように仲良くしてください。最後に。俺は、優しい優しいみんなのことが大好きです』


顔を上げてテレビに目を移せば、そこにはあおちゃんの泣き顔ではなく、なつの大好きな笑顔があった。


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