夏色の約束。~きみと生きた日々~


「ねぇ、菜摘ー。今日も碧くんのお見舞い、行くんでしょ?」


扇風機が涼しげな風を吹かせるリビングで、お母さんがなつに問いかける。


「うん、行くよー!もう出るの?」


ソファーから立ち上がって、テレビからお母さんへと視線を移したなつは、そう答えた。


そしたらお母さんは一回だけ頷いて、


「そろそろ出ようかしら。あ、でも菜摘、今日は先に碧くんのところへ持っていくお花を選びに行こうね」


って、目尻を下げて微笑んだ。


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