夏色の約束。~きみと生きた日々~
少し悲しい気持ちを抱きながら花屋の敷居を跨ぐと、いつものおばあが飛びきりの笑顔でなつとお母さんを迎えてくれた。
「菜摘ちゃん、いらっしゃい。今日も碧くんのお見舞いのお花を買いにきたのかい?」
「そう!これからお母さんと一緒にあおちゃんの病院に行くからさ」
なつがお母さんを見ながら「ねー」って言うと、お母さんはおばあに軽く会釈をしながらなつの髪の毛をサラリとなでた。
「何か気になる花はあるかい?」
おばあのその言葉に、なつは花屋さんの中をぐるりと一周見渡す。
「……あ」
たくさん並んでいる花の中で、なつはある花を見つけた。