夏色の約束。~きみと生きた日々~


なつはその花に向かって一目散に駆けよる。


「……おやおや、菜摘ちゃん。青バラが気になるのかい?」

「青バラ……?」

「この、青いバラのことだよ。バラは赤やピンクだけじゃないからね」

「……なつ、これが気になる」

「確かに、前に菜摘ちゃんが来たときにはまだなかったもんねぇ。その青バラは、つい最近入荷したやつだよ」


おばあが思い出すように上を向き、なつにそう教えてくれた。


……青バラ、かぁ。


なつが数ある花の中で見つけたのは、濃い青色に染まったバラの花。


青いバラなんて初めて見た。


……だからなのだろうか。


この青いバラは、なつの心を捕らえて離さない。


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