夏色の約束。~きみと生きた日々~
珍しいものを見るように目を輝かせるなつに、おばあが言う。
「確か、青バラの花言葉は“奇跡”だったかねぇ」
花言葉は、奇跡……?
なつはおばあの顔を勢いよく見上げた。
「前はねぇ、“不可能”っていう花言葉だったんだよ。青いバラは、誰がどう頑張っても作れないと考えられていたから」
「そうなの?」
「でもねぇ、ある会社が青いバラを作ることに成功してねぇ。それから、“奇跡”という花言葉が付け足されたんだよ」
おばあは優しく微笑むと、
「ちょっと待ってなさいね」
そう言って、奥の部屋に姿を消した。