夏色の約束。~きみと生きた日々~
何も分からないなつはお母さんを見て首を傾げるけど、お母さんもなつと同じように首を傾げるだけ。
「……はい、菜摘ちゃん」
しばらく待っていると、何か小さなものを握りしめたおばあが奥の部屋から戻ってきた。
なつは黙っておばあからその何かを受け取る。
「わぁ、きれい……」
それは、青いバラを押し花にした、小さなキーホルダーだった。
この島の海のような透明に近い青色のガラスの中で輝く青いバラの花びらは、心なしかキラキラしているように見える。
「菜摘ちゃん」
顔を上げれば、昔と全く変わらないやわらかい笑みを浮かべたおばあがいて。