夏色の約束。~きみと生きた日々~



閉じていたまぶたを上げたおばあは、一粒の涙を流しながら一言呟いた。


「なんで……なんであんなに優しい子が、病魔に冒されないといけないのかねぇ……。世の中は、本当に不公平だよ……」


おばあはとても悲しそうな顔をする。


「おばあが……おばあが、代わってやれたらいいのにねぇ……。こんなおばあが生きてたって、なんの役にも立たないだろうに……」


そう言って涙を流すおばあの頭を、なつはぎゅっと抱きしめた。


そんなこと言わないでよ。


おばあが生きてると、なつは嬉しい。


おばあがいなくなるって思うと、なつは悲しい。


それだけでね、きっとおばあが生きてる意味は成り立つんだよ。


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