夏色の約束。~きみと生きた日々~
……それにね。
「ねぇ、おばあ。あおちゃんはきっとね、もしも病気をおばあに渡せたとしても、絶対渡さないと思う」
「……そうかいね」
「だってあおちゃんは、おばあが言う通り優しい子だもん。この島の海よりもおっきな優しさを持った子だもん。そんなあおちゃんが、自分の病気をおばあに渡すわけないよ」
……そうでしょ? あおちゃん。
あおちゃんはきっと、おばあの苦しんでる姿を見たくないよね。
あおちゃんが見たいのはさ、おばあの苦しんでる姿や悲しんでる姿より、
「笑顔、だと思うんだ」
「えぇ?」
「あおちゃんはね、“代わってやりたい”って泣くおばあより、笑ってるおばあを見たいって思ってると思う」
そう。
あおちゃんが見たいのは、おばあの笑ってる顔。
この島に住む、たくさんの人の笑顔。