夏色の約束。~きみと生きた日々~
「だからさ、おばあ。笑ってよ。なつも笑うから。いっぱい笑って、あおちゃんに元気を届けようよ」
なつはそう言って、おばあに笑顔を向けた。
なつの笑顔を見たおばあも、少しだけ笑ってくれて。
「菜摘ちゃん、立派になったねぇ。強く、なったねぇ……」
おばあのしわしわの手が、なつの頭を優しくなでる。
お母さんを横目でチラッと見れば、お母さんは瞳に涙をためながらなつを見て嬉しそうに笑った。
その拍子に夏の生暖かい風が吹いて、なつの髪の毛をサラッと揺らす。
なつのてのひらの中には、“奇跡”の花言葉を持つ青いバラのキーホルダーがキラキラと輝きを放っていた。