夏色の約束。~きみと生きた日々~
きみと出逢えた奇跡
───まだなつが幼い頃、誰かが言っていた気がする。
あきらめたら、そこで終わりなんだよと。
信じ続けていれば、きっと奇跡は起こるからと。
「ねぇ、お母さん!この服どう?可愛い?」
「あら、どうしたの?菜摘、そんなワンピース持ってたかしら?」
「これね、ちかちゃんがくれたんだぁ!ちかちゃん、中学に入って背がグンと伸びたからもう着れなくなっちゃったんだって」
ふわふわのシフォンワンピースの裾を両手で広げながら、なつはお母さんを見上げる。