夏色の約束。~きみと生きた日々~
ロックされていた窓の鍵を解除して窓を開けると、爽やかな風がさらさらと病室の中に舞いこんだ。
「どう?気持ちいいで───」
“気持ちいいでしょ?”
そう聞きたかったのに、聞けなかった。
……だって。
窓を開けて振り向いたなつの瞳に映ったのは、まぎれもなく、目を開けて不思議そうになつを見つめるあおちゃんの姿だったから。
「……っ、あお、ちゃん……?」
いきなりのことに頭が真っ白になって、もう何がどうなっているのか自分でもよく分からない。
ただひとつだけ分かるのは、君が生きているということだけ。
「なっ、ちゃん……?」
久しぶりに耳にしたあおちゃんの声に、どうしようもない涙がこみ上げてくる。