夏色の約束。~きみと生きた日々~
「なっちゃん、俺と付き合い始めてから泣いてばっかりだったでしょ?だから俺、内心すごく心配だったんだ」
「……嘘」
「本当だよ。なっちゃん、本当によく泣いてた」
あおちゃんは面白おかしげに、クスクスと笑う。
……なつは、そんなに泣いてたんだろうか。
自分が思っていたより、何倍もの涙を流していたのかな。
目の前にいたあおちゃんが笑いながら、でも少しだけ寂しそうな顔をした。
「だからね、もしかしたら、俺がなっちゃんの笑顔を奪っちゃったんじゃないかって思ってた。俺がそばにいることは、なっちゃんを苦しめてるだけじゃないかとも思った」
「そんなこと……っ」
「分かってるよ。なっちゃんが同情なんかで一緒にいてくれてるんじゃないってことも、ちゃんと俺を想って愛してくれてるってことも。ちゃんと知ってる、痛いほど分かってる」
「……っ」
「でも、怖かった。やっぱり、怖くて怖くて仕方なかった。なっちゃんの笑顔が消えてしまうことが、何より不安だったんだ」
あおちゃんは全身で潮風を感じるかのように、目を閉じて大きく深呼吸をした。
そして次の瞬間、海のように澄んだ純粋な瞳がなつを捕らえる。